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りょう

Author:りょう
職業:臨床工学技士、米国呼吸療法士

アメリカ留学中の私、りょうが米国呼吸療法士に関する情報を週に1回ぐらいのペースで綴ります。

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「この患者さんのFiO2 0.16です

こんな申し送りがありました。

大気の酸素濃度が 21%なのにこの患者さんの吸入酸素濃度は 16%

こんなことはあり得るのでしょうか

しかもどんな時にわざわざ酸素濃度をそこまで下げるの


初めて聞いた時は「え!?」と思いましたが聞けば納得です

それはNICUでの出来事でした。

つまり患者は新生児。そして疾患は心室中隔欠損。
心室にシャント(短絡)があるんですね。


ここでちょいと質問。

右室と左室、圧力が高いのはどっち

はい、正解左室です。

ということは血液の流れはこのシャントのために左室→右室へ流れます。

すると、どうなるでしょう

心臓からの血液が体の方にいかず、右室の方にたくさんいってしまいます。わぁ~、大変だぁ

ということで、少しでもそれを減らそう。

どうすれば


そうだ。右室の圧を上げればいいじゃないか

低酸素血症は肺血管を収縮させるからそれを利用しよう。

出口である肺血管が収縮すれば右室の圧は上がるじゃないか

ということでFiO2 を低くして低めのPaO2を保っています。

ちなみに私の見た症例はSpO2 80%前後で維持されてました。

あっ、あと、FiO2 0.16は窒素タンクと酸素濃度計でコントロールされてました。

ECMO

NICUでは、毎回新しいことが見れて今までの実習で一番興味深いです。

この前はECMO(血液を体外循環させて呼吸の補助する方法)を見ました。

NO療法を見れて、HFOVも見れて、さらにECMOも見れるなんてなかなか運がいいです
「あ~、どうせならこういうとこでしばらく働いて学びたいなぁ」と思いますが、競争率が高すぎです

ちなみにECMOとはこんな感じです。
(ページ中段の回路図)

そして日本でいう人工肺はoxygenator(訳:酸素化装置?)と呼ばれます。
使われていたのはこれ。
(一番上の写真のECMO800)


今回の症例は横隔膜ヘルニア。

簡単に言えば、腸が横隔膜を突き抜けて胸郭の方へいくんですね。(図)

生まれる前にこうなっているから肺の成長を妨げるのです(肺低形成)。

今回、HFOVもNOもトライしたけど、それでも改善しなかったためにECMOにいったようです。

カルテからひろったデータによると、ECMOにのせる前は、FIO2 1.0 PIP 33 NO 20ppmで
血液ガス pH 7.131 PaCO2 98 PaO2 21 HCO3 32.6 だったようです。びっくりです

もちろんECMOにのせた後は、oxygenatorがガス交換するのでデータは良くなるんですけどね。
そうそう、ちなみにECMOの管理はRTが行っているわけではありません。
Perfusionistと呼ばれる職種の人が行います
Perfusionistについては次回書きますね

初NICU

今回は初NICU(新生児ICU)でした。
いやぁ、今まで見たことの世界やから入室するまでドキドキでした

運悪く、今回ついたRTは
「今日はしんどいから教える気分やないわぁ
とか言われて・・・。

まぁ、そういう日もあるでしょう。。と思い、結構ほったらかし状態でしたが、周りにいるドクター達に教えてもらったりして勉強になりました。

さて、少しでも関わった患児たちのヒストリーを見てると・・・肺高血圧症の赤ちゃんが結構な割合でいました。

ですので、iNO(一酸化炭素療法)の症例が多く、さらにiNO+HFOV(高頻度振動換気?)というのも何人かいました。

成人ではめったに見れない呼吸療法が、NICUでは結構見れるのもいいとこの一つですね

今回の関心はHFOV (高頻度振動換気?)。
ちなみにマシンは3100A HFOVでした。
このマシン、日本のホームページでも見つけたので日本でも多く使われているのかな誰か知ってたら教えてください。

HFOVは気道内圧を低く抑えつつ、酸素化を良くしようという方法で、新生児や子どもに多く使われるのですが、成人でも数年前から使われてきているようです。

NICUのローテーションは4週間のみ。
成人では学べないことをいろいろ学びたいところです

NO療法とGlenn shunt

「PICU(小児のICU)でNO(一酸化窒素)療法のオーダーがはいったよ」

お~今まで使っている最中は何度かみたけど、スタートから見るのは初めて。

セットアップをちょっと手伝っていざスタート

ちなみにNO療法とは肺高血圧の患者さん(特に新生児)に対してよく使われる療法。NOが肺の血管を選択的に拡張します。日本でもみれます。

今回の適応はなんだろう~ちょっとナースとドクターの話を立ち聞き
「血圧が低いからなんとかなんとか・・」
あんまりよく聞こえないなぁ。

思い切ってドクターに尋ねる。

医師「この患者はGlenn shuntがあってな。Glenn shuntとはなんとかなんとか・・・」

この時は全然わからなかったのですが、家に帰って調べるとhypoplastic left ventiricular(左心室低形成?)のOPの一つで、上大静脈から肺動脈へシャントを作る方法のようです・・。非常にややこしいです・・。

りょう「血圧を上がるのを期待してるのですよね?」

医師「うん、血圧上昇とHRダウンを期待しているよ。」

りょう「今回も肺高血圧症の適応と思っていました。」

医師「それもあるかもね。はっきりとはわからない。肺動脈を開いて前負荷が上がると考えているけど今回の例でうまくいく確信はないんだ。」


さて、数時間後、FiO2が0.4から 0.6に上がっていました。SPO2が下がったみたい。HRもBPも横ばいでした。

そのまま、実習時間終了となって帰ったけどどうなったんだろう~。
次に行った時にデータだけでも確認しなければ・・。

見慣れないNO療法、今回はGlenn shuntが絡み一段と理解しにくい症例でした
興味深いニュースを見つけました
「超未熟児の命がバイアグラにて救われました」

では、素人ながらも訳してみます

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Lewis君は超未熟児(約700g)として生まれ、さらに心臓の障害や虚脱肺があり、生き残る方法はないだろうと思われていました。母親も葬式の準備にとりかかっているほどでした。

やれること全て行ったがそれでも希望は持てずにいた時に、バイアグラが提案されました。

バイアグラは肺の小さな血管を広げ、血液が肺から全身へ回り、Lewis君の血色はよくなり、息もしやすくなっていきました。

今のところ、まだ1日中酸素が必要ですが、バイアグラの使用は終了しています。

両親は「これは実験的で効果は期待できない可能性もある。最後の手段です。」と説明されていました。

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おおぉ~、すごい
バイアグラにこんな意外な使い道があったとは。。

ちょうど新生児クラスも終わったとこだしちょっと詳しく調べてみよっかぁ

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「肺の小さな血管を広げ・・・」とあるので肺高血圧症(肺の血管の圧力が高くなる病気)かと思ったのですが、未熟児ということで違う可能性が高いです多分、肺がメッチャ未成熟なのでしょう。

肺が未成熟でガス交換も大変だろうから、人工呼吸器もガンガン必要でその結果の気胸による虚脱肺かな。

心臓の疾患とは未熟児に多い動脈管開存症(動脈管が生後に閉じない病気)の可能性が高いようです

バイアグラが肺血管を選択的に拡張する・・・。
NO療法(Nitric Oxide:一酸化窒素を用いた肺血管拡張療法)ができない施設で重宝されていきそうですがどうなのでしょうね。

苦手だった新生児呼吸療法にも少しずつ興味がわいてきました。



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