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りょう

Author:りょう
職業:臨床工学技士、米国呼吸療法士

アメリカ留学中の私、りょうが米国呼吸療法士に関する情報を週に1回ぐらいのペースで綴ります。

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ARDS診断基準2

「ARDSの新定義なんだった?」

ひさびさにFCCSでインストしたのですが、ハンズオンでARDSの定義にも触れるので理論武装しておくべきでしたが、すっかりチェックを忘れていました。あわててスマホから確認です

アンテナの鋭い方はすでにご覧になられたかもしれませんが、ARDSのベルリン定義がJAMAに掲載されました。
前回、ブログに掲載したのは学会で発表されたドラフトみたいなもので、今回のものがより正式になるかと思います。

前の記事と重複しますが、ALIの定義がなくなった、ARDSの重症度により分類された、PEEPが考慮されたのがこれまでと比べて大きな違いかな。


リンク先を記載しておきます。
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleID=1160659

毎度のように保証はできませんが、日本語訳も。

ards
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ARDSの診断基準

昨年の10月にARDSの新しい診断基準がヨーロッパででました。
なかなか見つけれなかったのですが、ふとしたところで見つけたので記載しておきます。

「Berlin」「 definition」「 ARDS」でgoogle検索すると、ヨーロッパでの学会の動画やスライドなんかもヒットします。

でもそんな時間はない~って方のために簡単に記載しておきますね。(訳は保証できないのであしからず・・・)


        Mild        Moderate     Severe
酸素化   P/F 201-300   PF<200    PF<100 
      (PEEP 5以上)   (PEEP 5以上)  (PEEP 10以上)
X-P  両側性の浸潤衛  両側性の浸潤衛  肺野3/4の浸潤衛
その他   なし       なし        補正VE>10L/min
                          Or Crs<40ml/cmH2O
 ※心源性や水分過負荷による呼吸不全ではないこと。

ALIという分類がなくなっていますね。
そしてARDSが3段階にわかれています。
あっ、この前みたARDSはこの分類によると・・・と考えることができますね。

PEEPが考慮されているのも特徴的です。
以前、ドイツのラッハマン先生がこれまでの指標ではPEEPですぐに変化してしまうのであてにならないといっていたのを思い出します。
過去の記事「ALI?ARDS?」


新しい診断基準についてより詳しく知りたい方は、上記のキーワードでぜひ検索してみてくださいね。
さて、クイズ

2つの食器洗い用のスポンジを用意しました。
1つ目はちょっとしめらせる。
2つ目は思いっきりしめらせる。

より重いのはどっち
またスポンジの中の空気がより少ないのはのはどっち

これがBoneやGattinoniが話しているスポンジラングのコンセプトにつながりまーす。

スポンジラング(Sponge lung)なんてややこしい表現してるけど、一度わかれば簡単さ

もちろん、上のクイズ、より重いのは思いっきりしめっているスポンジ。
空気も追い出されていますね、特に下の方で。。

肺で考えると・・・・
普通の肺とARDSの肺で水が多いのは・・ARDSの肺。
そしてより重い

これで仰向けに寝ているなら背中側に水分がたまる。
より重いから、そこの空気がおいだされて肺が潰れますね

あっ、スポンジと同じだ・・・ってなりませんか

これで膨らみを維持するならその重みよりも高いPEEPが必要になりますね。


―まとめー
・ARDSの肺は水のために重い。
・重みのために下の方で空気が追い出されて肺が虚脱。
・膨らみを維持するならその重みと同じだけのPEEPが必要。

<参考文献>
Luciano Gattinoni. The concept of “baby lung”. Intensive Care Med2005 31:776-784

「あ~、このARDSの患者さん、肺固いね~

よく使われる表現です。
私も使います。
でも厳密に言えば間違いなんです。

ARDSの時ってコンプライアンスが低くなりますね。
それって肺胞一つ一つのコンプライアンスが下がるから

「う~ん・・・」

ってとこでイタリアからガティノーニ(Gattinoni)先生の登場です

「チャオそれは・・・・・だからだよ」

なるほど。そうだったんだ

先生によると、ARDSの患者さんの肺は固い・・・というより、空気の入ることのできる肺胞の数が少ない。だからコンプライアンスが下がる

例えば僕らの肺が突然半分潰れてしまったとする
それでも同じ一回換気量を無理にいれればもちろん圧はあがる
ということはコンプライアンスは低く表示される。
でも大丈夫な肺胞一つ一つのコンプライアンスは問題ないよね。

それと同じこと

まとめると肺は固くなっているのではなく、小さくなっている。
研究では5、6歳の子供と同じぐらいになっていた。
だからこの考えはベイビーラングコンセプト(baby lung concept)なんて呼ばれます。

そう考えれば6ml/kgの換気量なら安全とか言えませんね。
換気できるエリアが小さければそこはパンパンに過膨張してるかも。。

<参考文献>
Luciano Gattinoni. The concept of “baby lung”. Intensive Care Med2005 31:776-784


ALI?ARDS?

ふとRespiratory Care(日本語版)を読んでいると・・・

Villar先生の文献(1999年)を参考に、
「ALI/ARDSの定義はシンプルだけど、高いPEEPでP/F ratioとX-rayが改善することがあって、ALIの定義に入らなくなるよ。」
ありました。


ラッハマン先生が、
「ALI/ARDSの定義はあてにならんわ~。
だってPEEPでP/F ratioは変わるのはみんな知ってるし、X-Pも変化してしまうんやって
と言っていたのを思い出しますね。
(ほんとに大阪弁ならいいんですけど

でも確かにあの定義に従うと、
PEEPをあげたらARDSからALIになったぁ
PEEPをさげたらALIからARDSになったぁ
ってなって診断が一瞬で変化して大変です。


ついでにVillar先生の元文献をたどると・・
「従来の診断基準でやってもよくわからないから、PEEPを考慮してARDSとALIを診断すると死亡率もきれいにわかれてよりよい診断になった。」
とありますね。
分ける基準のPEEPが5cmH2Oなのは、なんとも言えませんが、1999年の時点でそんなことをしているところがおもしろいですね。


<参考文献>
Kenneth P Steinberg, Robert M Kacmarek. 一回換気量は、殆ど全ての急性呼吸不全の患者に対して、6ml/kgに設定されるべきか?Respiratory Care(日本語版)2008; 1(2): 27-43

Villar J. Current definition of acute lung injury and the acute respiratory distress syndrome do not reflect their true severity and outcome. Intensive Care Med. 1999; 25(9): 930-5

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